仏像の起源は大乗経典より先行する

一般的な常識として、大乗仏教の諸経典の基礎部分が生まれ、その論理に従って仏像が作られたものと判断されている が、これは証明作業の結果確立した事柄ではなく、それ以外の選択肢はないという総意了解に基づくだけの事である。我々の追跡調査の結果は、状況は全くその逆という新規の視座を導き出す。仏像造立の方法論が先立って確立し、そこから合理的に展開する思想哲学が大乗仏教となり開花したと把握するべきなのだ。

仏教経典研究の第一人者である平川彰先生の著作集の中に、仏教遺跡発掘に基づく仏像研究第一人者である高田修先生との論争が収録されている。これぞ真の研究者同士の妥協なき徹底した戦い、学問とはかくあるべきものかと感動を覚える内容である。大乗仏教の発生は仏像とストゥーパの発達に関連して起こったとする平川説に対して、高田説は発掘の実態からそれを示す要素は一切ないとする。経典の分析からの結論として絶対の自信を持つ平川説に、発掘調査資料が見合わないという現実を明確にしたまま、この論争は今も宙に浮いたままである。しかし矛盾と捉えられたこの事態こそ、我々の追跡調査にとっては、逆に重要な事実証拠と言うべきものである。大乗経典より仏像が先に作られたとする我々の調査結果からすれば、平川説高田説とも、そこに一切の矛盾はない。








[2009-07-26]

東寺梵天像の構造

この解析図版に明らかな東寺梵天像の基盤構造である正三角形連鎖網は、初期マトゥラーの仏立像の論理を正確に受け継いだものである。この完璧なフラクタル構造を、いくら空海が偉大だとしても、伝え聞いた情報だけで作らせることは不可能と考える。この像の制作に当たっては直接中国側の熟達した人材が関わっているのは確実と我々は見ている。



詳細図版→http://jam.velvet.jp/mathura-text-b05.html

注)図版は学術的利用として東寺国宝展(世田谷美術館)図録から引用し、立体物図版であるため輪郭線だけを画像処理で抽出し作成した。

[2008-06-29]

東寺梵天像(国宝)の正三角形連鎖構造

以前に平面図像化した図版を用いて示した東寺梵天像の解析であるが、学術的見地から、より正確な提示を成すべきが急務と判断し、引用図版未処理の解析画像で再度作成した。フラクタル的な正三角形連鎖構造との完璧な合致が容易に見て取れる。あまりの正確さに言葉もない。




学術的利用として東寺国宝展図録(世田谷美術館)より図像を引用


この正三角形(正六角形)の連鎖構造のルーツも、また初期マトゥラー派の仏立像の方法論にある。





[2010-01-17]

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